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  • 2026.02.28

透明な守護者

透明な守護者   ゆっくりと 見渡す限りの大きな空気の塊が   山の背を越え漂う   その大きな存在は 草原を包むように撫で 抱かれた雲は  地に落とす影で遊ぶ   その戯れに 地表は温度をわずかに変え   水面はざわめききらめく   大地はその存在に守られ 離れずに眠る

  • 2026.02.28

海底

海底   波と風が減衰し   無に帰る深度   均質で   滑らかな砂の大地   散らばる欠片は   薄暗い   透明な空間で   静かにきらめく   きらめきを積み上げた城は   幾度も崩れ   幾度も散る   それでも   静かにきらめきを拾い   また積み上げる   そして   二つの影が   同じ深度で出会うとき   微かなきらめきを   ただ眺め 二人で微笑む

  • 2025.11.23

『残響』

『残響』   光に触れたのは、僕じゃない。 けれど、 その瞬間の歓びが、 僕の中に、 静かに揺れている。   遠い命が、 まだ名もなく、 ただ光を求めていた。   触れたとき、 世界が微かに震えた。 その震えが、 僕の皮膚の奥に残った。   記憶ではない。 でも、 光を見るたび、 胸が、 ほんの少しだけ、 あたたかくなる。   それは、 誰かが美しいものに触れたという、 確かな残響。

  • 2025.11.23

『ひとひらの残光』

『ひとひらの残光』   彼は、何も持たずにそこへ来た。 名もなく、記憶もなく、 ただ、何かに触れたかった。   風が吹いていた。 その風は、彼の頬をかすめ、 胸の奥に、知らない感情の輪郭を描いた。   目の前にあったのは、 ひとひらの光。 それは花でもなく、星でもなく、 ただ、そこに浮かんでいた。   彼は手を伸ばした。 触れたかどうかは、わからない。 けれどその瞬間、 世界が、ほんの少しだけ震え […]

  • 2025.11.23

『光に包まれて』

『光に包まれて』   私は、光のなかにいた。 誰かが私を見つめている。 その視線は、触れず、問わず、 ただ、私の輪郭をなぞっていた。   私は語ることができない。 けれど、その眼差しが届くたび、 私の奥に眠る微かな震えが、 静かに、確かに、揺れた。   私は、かつて水のなかにいた。 流れに身を任せ、 光を集め、 ただ生きていた。   その記憶はもう遠く、 私の表面に残るのは、 光の痕跡だけ。 それ […]

  • 2025.11.23

水面のきらめきに囚われて

水面のきらめきに囚われて   三葉虫たちは、海底の静けさのなかで生きていた。 目は、ただの器官だった。 世界を知るためのものではなく、闇に慣れるためのものだった。   ある日、水面に映る光のきらめきが、彼らの目に届いた。 日差しが、波に揺れて金の線となり、 月が、静かに輪郭を描き、 星が、水の上で瞬いた。   彼らは、それが何かを知らなかった。 でも、感じた。 胸の奥が震えるような、理由のない歓び […]

  • 2025.11.23

『雨になる前の願い』

『雨になる前の願い』   まだ名もなく、   まだ形もなく、   ただ空気の奥に漂っていた頃——   その存在は、   世界に触れたいとは思っていなかった。   ただ、   世界の一部になりたかった。   風になってもよかった。   雲に溶けてもよかった。   けれど、   その存在は、   「触れる」ことを選んだ。   なぜだろう。   それは、   世界があまりにも美しく、   あまりにも壊れ […]

  • 2025.11.23

『雨の願い』

『雨の願い』   雨は、   空の高みから降りてきた。   誰かに触れるためでも、   何かを洗い流すためでもない。   ただ、   みんなと一緒になりたかった。   葉の上に落ちるとき、   その柔らかさに身を委ねる。   土に染み込むとき、   静かに溶けていく。   誰にも気づかれなくても、   それでよかった。   雨は、   歓びの中に混ざりたかった。   笑い声の隙間に、   歩く足音 […]

  • 2025.11.23

『木漏れ日の歓びたち』

『木漏れ日の歓びたち』   木々の隙間からこぼれる光は、   もうこの世にいないものたちの   歓びの残響。   誰かが笑った場所。   誰かが踊った午後。   誰かが、ただそこにいたというだけで   世界が少しだけ優しくなった瞬間。   木漏れ日は、   そのすべてを覚えている。   葉の揺れに合わせて、   歓びの粒が舞い降りる。   それは、   声ではない。   記憶でもない。   ただ、 […]

  • 2025.11.23

『無彩の国』

『無彩の国』   そこには音がない。   風は吹いても、葉は揺れても、   何も響かない。   ただ、動きだけが残る。   色もない。   空も、地も、影も、   すべてが同じ濃淡の中に沈んでいる。   けれど、それは無ではない。   むしろ、すべてが在るからこそ、   色は必要とされない。   誰かの影が、   誰かの気配が、   誰かの記憶が、   静かに重なっていく。   そこでは、   誰 […]

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