- 2026.02.28
透明な守護者
透明な守護者 ゆっくりと 見渡す限りの大きな空気の塊が 山の背を越え漂う その大きな存在は 草原を包むように撫で 抱かれた雲は 地に落とす影で遊ぶ その戯れに 地表は温度をわずかに変え 水面はざわめききらめく 大地はその存在に守られ 離れずに眠る
透明な守護者 ゆっくりと 見渡す限りの大きな空気の塊が 山の背を越え漂う その大きな存在は 草原を包むように撫で 抱かれた雲は 地に落とす影で遊ぶ その戯れに 地表は温度をわずかに変え 水面はざわめききらめく 大地はその存在に守られ 離れずに眠る
海底 波と風が減衰し 無に帰る深度 均質で 滑らかな砂の大地 散らばる欠片は 薄暗い 透明な空間で 静かにきらめく きらめきを積み上げた城は 幾度も崩れ 幾度も散る それでも 静かにきらめきを拾い また積み上げる そして 二つの影が 同じ深度で出会うとき 微かなきらめきを ただ眺め 二人で微笑む
『残響』 光に触れたのは、僕じゃない。 けれど、 その瞬間の歓びが、 僕の中に、 静かに揺れている。 遠い命が、 まだ名もなく、 ただ光を求めていた。 触れたとき、 世界が微かに震えた。 その震えが、 僕の皮膚の奥に残った。 記憶ではない。 でも、 光を見るたび、 胸が、 ほんの少しだけ、 あたたかくなる。 それは、 誰かが美しいものに触れたという、 確かな残響。
『ひとひらの残光』 彼は、何も持たずにそこへ来た。 名もなく、記憶もなく、 ただ、何かに触れたかった。 風が吹いていた。 その風は、彼の頬をかすめ、 胸の奥に、知らない感情の輪郭を描いた。 目の前にあったのは、 ひとひらの光。 それは花でもなく、星でもなく、 ただ、そこに浮かんでいた。 彼は手を伸ばした。 触れたかどうかは、わからない。 けれどその瞬間、 世界が、ほんの少しだけ震え […]
『光に包まれて』 私は、光のなかにいた。 誰かが私を見つめている。 その視線は、触れず、問わず、 ただ、私の輪郭をなぞっていた。 私は語ることができない。 けれど、その眼差しが届くたび、 私の奥に眠る微かな震えが、 静かに、確かに、揺れた。 私は、かつて水のなかにいた。 流れに身を任せ、 光を集め、 ただ生きていた。 その記憶はもう遠く、 私の表面に残るのは、 光の痕跡だけ。 それ […]
水面のきらめきに囚われて 三葉虫たちは、海底の静けさのなかで生きていた。 目は、ただの器官だった。 世界を知るためのものではなく、闇に慣れるためのものだった。 ある日、水面に映る光のきらめきが、彼らの目に届いた。 日差しが、波に揺れて金の線となり、 月が、静かに輪郭を描き、 星が、水の上で瞬いた。 彼らは、それが何かを知らなかった。 でも、感じた。 胸の奥が震えるような、理由のない歓び […]
『雨になる前の願い』 まだ名もなく、 まだ形もなく、 ただ空気の奥に漂っていた頃—— その存在は、 世界に触れたいとは思っていなかった。 ただ、 世界の一部になりたかった。 風になってもよかった。 雲に溶けてもよかった。 けれど、 その存在は、 「触れる」ことを選んだ。 なぜだろう。 それは、 世界があまりにも美しく、 あまりにも壊れ […]
『雨の願い』 雨は、 空の高みから降りてきた。 誰かに触れるためでも、 何かを洗い流すためでもない。 ただ、 みんなと一緒になりたかった。 葉の上に落ちるとき、 その柔らかさに身を委ねる。 土に染み込むとき、 静かに溶けていく。 誰にも気づかれなくても、 それでよかった。 雨は、 歓びの中に混ざりたかった。 笑い声の隙間に、 歩く足音 […]
『木漏れ日の歓びたち』 木々の隙間からこぼれる光は、 もうこの世にいないものたちの 歓びの残響。 誰かが笑った場所。 誰かが踊った午後。 誰かが、ただそこにいたというだけで 世界が少しだけ優しくなった瞬間。 木漏れ日は、 そのすべてを覚えている。 葉の揺れに合わせて、 歓びの粒が舞い降りる。 それは、 声ではない。 記憶でもない。 ただ、 […]
『無彩の国』 そこには音がない。 風は吹いても、葉は揺れても、 何も響かない。 ただ、動きだけが残る。 色もない。 空も、地も、影も、 すべてが同じ濃淡の中に沈んでいる。 けれど、それは無ではない。 むしろ、すべてが在るからこそ、 色は必要とされない。 誰かの影が、 誰かの気配が、 誰かの記憶が、 静かに重なっていく。 そこでは、 誰 […]